フィリピン技能実習生の「母の日」
「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が2018年ユネスコ世界文化遺産に登録されたのは記憶に新しいところ。長崎県ごとう人材確保・育成協同組合がある、ここ五島市にも古くからのカトリック教会が数多くあり、中でも五島市の玉之浦という地域にあるカトリック井持浦教会には日本最古のルルドがあるそう。
その教会で2023年5月14日母の日に聖母マリアを讃えるルルド祭が開かれ、ごとう人材がお世話しているフィリピンからの技能実習生もルルド祭に参加しました。
この日は朝早くから教会に行ってルルド祭の準備。みこし台を布で覆ったあとは、地元の人たちと一緒にきれいな花でマリア様を飾ります。作業の合間には、フィリピンにいる彼女の息子さんの動画を見せたり、子供たちが自分に用意してくれた母の日のプレゼントの話をしたり。いつの間にか教会の信者さんとも和気あいあいでお手伝い。「ローズはここでよか~?」「よかっち」自然と五島弁も出てきます。そして午後からは、いよいよルルド祭の本番。前日までの荒天が噓のように、明るい太陽の日差しのもと聖母も微笑んでいます。マリアみこしを先頭に行列を作り、五島各地から集まった信者たちが祈りを唱えながら教会に向かって歩いていきます。もちろん彼女も同じ祈りをタガログ語で唱えながら日本人の信者らに交じって後に続きます。最後は教会の聖堂で記念ミサに参加しました。
人口の8割以上がカトリック信者のフィリピン。彼女も毎週日曜日には家族で欠かさず教会に行っていたとか。でも介護職の技能実習生として来日してからは、なかなか休日の都合があわず自室でお祈りする日が多かったそうです。世界各地いろいろな宗教がありますが、実習生それぞれの信仰を尊重し大切にしてあげたいものですね。
「今日はどうだった?」との問いに「久しぶりに教会に行ってミサに参加したり地元の人たちと一緒にお手伝いができて、とても嬉しかった」と満面の笑み。たまには実習先の職場を飛び出し地域の方々と交流したりイベントに参加したりすることは、単なる「日本での楽しい思い出作り」だけにとどまらず、実習生たちの人間関係の幅を広げ、異国での生活に豊かな経験と自信をもたらすことでしょう。